特集 今こそ新人看護師支援を 移行期に教育機関ができること
column 卒業生の経験と思い②
川口 奏恵
1
1千船病院看護部
pp.727
発行日 2022年12月25日
Published Date 2022/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202019
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私が専門学校3年生のころ、精神看護学実習の最中にコロナ禍のため実習が中止となった。患者さんとの関係性も築けてきた矢先であったため、そのショックは大きかった。その後の統合実習も日数と時間が短縮され、限られた時間のなかで、いかに患者さんにとってよりよい看護が行えるのか日々頭を悩ませた。患者さんの家族との面会も制限され、患者さんの入院前の生活や趣味などを聞く機会や、家族の前だからこそみられる患者さんの表情をうかがう機会も減ってしまった。また、患者さんとのコミュニケーションではマスクで顔の下半分が見えない分、非言語コミュニケーションとして表情を伝える、表情を読み取る難しさを感じた。
就職後は、「今年の1年目はコロナ禍で実習時間が足りていない分、コミュニケーション力がない」と先輩看護師から思われているのではないかという不安があった。実際に現場で働いてみて、患者さん自身から家族と面会できないことのつらさを聞いた際、そのつらさに共感しつつも、経験やコミュニケーション能力の不足から、閉ざされた空間で過ごす患者さんの精神的ケアを行う難しさを感じた。
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