Japanese
English
第1土曜特集 自律神経のサイエンス
自律神経の中枢制御
自律神経系と予測処理機能
Autonomic nervous system and predictive processing
朝比奈 正人
1
,
梅田 聡
2
Masato ASAHINA
1
,
Satoshi UMEDA
2
1金沢医科大学脳神経内科
2慶應義塾大学文学部心理学教室
キーワード:
自律神経系
,
予測
,
情動
,
辺縁系
,
アロスタシス(allostasis)
Keyword:
自律神経系
,
予測
,
情動
,
辺縁系
,
アロスタシス(allostasis)
pp.522-528
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506522
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
広く知られるホメオスタシスの概念の影響で身体の内部環境は一定であると思われがちであるが,実際には一定の幅で変動する.この変動はさまざまな因子により生じ,そのひとつは情動である.情動は闘争・逃走行動などの情動行動を伴い,その遂行には自律神経活動や内分泌活動による身体の生理学的変化を必要とする.身の危険を察知した際に,闘争・逃走行動を起こす前から身体の生理学的変化は生じており,それは自律神経系の予測的活動といえる.情動と自律神経活動は一体のものであり,そこで重要な働きをするのが辺縁系である.辺縁系は情動行動の遂行のために事前に自律神経反射のセットポイントを変化させる.ストレスに曝露した際に辺縁系が主体となり予測的に内部環境を変化させて情動行動を円滑に行えるようにする機構があると推察される.ストレス負荷により内部環境が変化する現象をアロスタシス(allostasis)とよび,ストレス性疾患の病態を理解するためのモデルとなっている.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.