Japanese
English
特集 脳脊髄液漏出症の診断と治療
画像診断—各種モダリティの所見と診断戦略
Image Diagnosis of the Cerebrospinal Fluid Leak
鹿戸 将史
1
,
細矢 貴亮
1
Masafumi KANOTO
1
,
Takaaki HOSOYA
1
1山形大学医学部放射線診断科
1Department of Diagnostic Radiology, Yamagata University Faculty of Medicine
キーワード:
MR myelography
,
CT myelography
,
RI myelography
Keyword:
MR myelography
,
CT myelography
,
RI myelography
pp.933-937
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200472
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
脳脊髄液が何らかの原因で硬膜囊から漏れ出ると,脳脊髄液の圧が低下し,起立性頭痛などの特徴的臨床症状を呈するようになる.70年以上前に提唱された疾患概念である.当初,低髄液圧症(intracranial hypotension)と呼ばれていたが,特徴的臨床症状を呈するにもかかわらず脳脊髄液の圧が正常な場合もあることから,脳脊髄液減少症と呼称されるようになった.本疾患には交通外傷との因果関係について長らく論争があり,保険収載されなかったという不幸な歴史がある.脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究班(嘉山班)による調査研究に基づき,2016年4月に硬膜外自己血注入法(ブラッドパッチ療法)が保険収載された.今後,より多くの患者に対してこの治療が行われることが予想され,本疾患を正確に診断することが求められる.今のところ画像診断が本疾患を客観的に診断できる唯一の臨床検査法であるが,生体において脳脊髄液の容積を計測するのは実際上不可能である.また,その原因と考えられる硬膜の亀裂を直接観察し得る画像診断法も確立されていない.画像で確認できるのは,唯一脳脊髄液の漏出所見である.本稿では,脳脊髄液漏出症(cerebrospinal fluid leakage)という名称を用いて,画像診断法とその所見について述べる6).
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.