Japanese
English
特集 脊椎脊髄疾患に対するロボットリハビリテーション
脊髄損傷者に対する機能的電気刺激(FES)装置を用いたリハビリテーション
Rehabilitation Using Functional Electrical Stimulation(FES)Devices for Spinal Cord Injured Persons
松永 俊樹
1
,
島田 洋一
2
Toshiki MATSUNAGA
1
,
Yoichi SHIMADA
2
1秋田大学医学部附属病院リハビリテーション科
2秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系整形外科学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, Akita University Hospital
キーワード:
機能的電気刺激(functional electrical stimulation)
,
治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation)
,
脊髄損傷(spinal cord injury)
Keyword:
機能的電気刺激(functional electrical stimulation)
,
治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation)
,
脊髄損傷(spinal cord injury)
pp.735-738
発行日 2016年7月25日
Published Date 2016/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200427
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
脊髄損傷による四肢麻痺,対麻痺では,末梢運動神経とその支配筋には,正常な電気生理学的興奮性が残存していることが多い.脊髄損傷では,大脳皮質運動野からの随意運動指令が,損傷部位を越えて十分に伝達されず,適切な随意的筋収縮ができない状態となっている.したがって,上位中枢からの運動指令インパルスに代わり,末梢に直接電気刺激を与えることによって,麻痺筋を収縮させることが理論的に可能である10).
機能的電気刺激(functional electrical stimulation:FES)は,脊髄損傷などによる運動麻痺に対し,コンピュータ制御システムなどにより,プログラムされた動作刺激を複数の刺激電極を介して麻痺肢に与えることで,目的とする動作の再建を可能にする手法である2).FESにより,完全四肢麻痺の上肢機能再建5,6)や,完全対麻痺の起立歩行動作再建4,8)が可能である.
電気刺激は,筋萎縮進行抑制・改善,痙性緩和,関節可動域改善,不全麻痺の筋力回復,随意性促通などの治療効果も期待でき,治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation:TES)と呼ばれる.この分野では,いわゆるTESをFESとして述べている報告が散見されるが,両者は厳密に区別するべきである7).
本稿では,脊髄損傷者に対する装具型FES装置(NESSシステム)を用いたリハビリテーションについて紹介する.
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.