Japanese
English
特集 脊椎外傷—捻挫から脊髄損傷まで
第4章 脊髄損傷
最新の脊髄画像診断
Current Spinal Cord MR Imaging
堀 正明
1
,
高橋 木綿子
1
,
鎌形 康司
1
,
鈴木 通真
1
,
中西 淳
1
,
青木 茂樹
1
Masaaki HORI
1
,
Yuko TAKAHASHI
1
,
Koji KAMAGATA
1
,
Michimasa SUZUKI
1
,
Atsushi NAKANISHI
1
,
Shigeki AOKI
1
1順天堂大学医学部放射線診断学講座
1Department of Radiology, Juntendo University School of Medicine
キーワード:
拡散MRI(diffusion MRI)
,
トラクトグラフィー(tractography)
,
拡散定量値(diffusion metrics)
Keyword:
拡散MRI(diffusion MRI)
,
トラクトグラフィー(tractography)
,
拡散定量値(diffusion metrics)
pp.483-489
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200372
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はじめに
1980年代より以前,外傷性脊髄損傷を対象とする画像診断の手段としては,単純X線やミエログラフィーであった.だが,これらはあくまでも脊椎の形態評価を通して脊髄を間接的に推測して評価する手法であった.その後MRIが登場し,直接的に脊髄は評価可能となった.古典的なT2強調像やT1強調像などを用いたMRIでの脊髄損傷の画像所見として,まず急性期に損傷部位周囲(主に頭尾方向)に浮腫および血腫が広がり,その後縮小,改善し,後に場合によっては外傷性の囊胞変性をきたし,脊髄そのものの萎縮を認めるというものである(図1).ただし,これらのような形態およびシンプルな信号変化はときとして臨床症状と一致をみないことがあり,いわゆる“MRI paradox”といわれている.
翻って,脳のMRIに関してはさまざまな機能的検査あるいは定量的検査が臨床的にも広く行われるようになってきている.ファンクショナルMRIやMRスペクトロスコピー,あるいは拡散強調像である.これらの検査は,従来の形態的評価を中心としたMRIにさまざまな情報を付加する有用なものであるが,脊髄および脊椎における応用は,比較的研究段階にとどまっており,その多くは少人数を対象とした臨床研究である.ただし,特に拡散強調像では臨床的な有用性の報告を散見する.本稿においては,主に脊髄の拡散強調像に関して,その基本的な原理および脊髄損傷における(予想される)有用性,将来の展望に関して述べる.
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