Japanese
English
特集 一般内科疾患に伴う脊髄障害
Atopic myelitis
Atopic Myelitis
藤井 敬之
1
,
山﨑 亮
1
,
吉良 潤一
1
Takayuki FUJII
1
,
Ryo YAMASAKI
1
,
Jun-ichi KIRA
1
1九州大学大学院医学研究院神経内科学
1Department of Neurology, Neurological Institute, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
キーワード:
アトピー(atopy)
,
ステロイド(steroid)
,
血漿交換(plasma exchange)
Keyword:
アトピー(atopy)
,
ステロイド(steroid)
,
血漿交換(plasma exchange)
pp.119-123
発行日 2016年2月25日
Published Date 2016/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200301
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はじめに
中枢神経系が自己免疫機序により障害されることは,よく知られている.中でも最も頻度の高い多発性硬化症は,中枢神経髄鞘抗原を標的とした代表的な自己免疫疾患と考えられている.一方,外界に対して堅く閉ざされている中枢神経系が,アレルギー機転により障害されるとは従来考えられていなかった.しかし,1997年にアトピー性皮膚炎と高IgE血症をもつ成人で,四肢の異常感覚(じんじん感)を主徴とする頸髄炎症例がアトピー性脊髄炎(atopic myelitis:AM)として報告され4),アトピー性疾患と脊髄炎との関連性が初めて指摘された.2000年に第1回全国臨床疫学調査7),2006年には第2回2)が行われ,国内に本疾患が広く存在することが明らかとなった.その後,海外からも症例が報告されている10,11).2012年にはIsobeら1)が感度・特異度の高い診断基準を公表し(表1),本邦では2015年7月1日より「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく「指定難病」に選定されている.AMの疾患概念の確立は比較的新しく,病態解明とそれに基づいた新規治療法の開発が社会的に強く求められている.本稿では,AMの臨床的特徴について概説するとともに,病態解明に向けたモデル動物による最新の研究についても取り上げる.
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