Nomade
躍動の若き腕(かいな)に勝利を—アメフト選手への応援歌
野寺 裕之
1
1徳島大学病院神経内科
pp.991-992
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200254
- 有料閲覧
- 文献概要
新生の息吹に満ちた春の日,入学式を終えたばかりのひょろりとした一人の新入生はグラウンドの傍らにいた.アメリカンフットボール(アメフト)の日本一決定戦でテレビに映っていたチームが練習していた.
マイナー競技であるため説明すると,アメフトはサッカーやラグビーから派生したスポーツである.ラグビーでは後方へパスしながら前進を図るが,アメフトでは前へのパスが許されることがアメリカらしい合理性を象徴している.さらに合理的なことに選手がいつでも交代できるため,一場面のみのレギュラーもいる.下級生の私に与えられた役割はキッキングゲームといって蹴られたボールを追ったり,あるいはキャッチして前進したりするものであった.フィールドいっぱいを全力で駆け回るので,攻撃や守備のレギュラーは体力温存のため登場せず,もっぱら元気な下級生の役割であった.しかし,そこでタッチダウン(ラグビーでいうトライ)すれば同じだけの点数が与えられるため,各自プライドをもってプレイしていた.観客であふれ返ったスタジアムでナイスタックルをすると星印のシールを監督から与えられ,選手はそれをヘルメットに貼って誇りにした.2年生のシーズンで私は試合に出場できることとなり,無我夢中で相手に襲いかかったが,伝統校に惜しくも及ばずシーズンは終わった.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.