Japanese
English
特集 脊髄血管障害—最新の診断と治療
脊髄硬膜動静脈瘻の外科治療
Surgical Treatment of Spinal Dural Arteriovenous Fistula
山口 智
1
,
武田 正明
1
,
栗栖 薫
1
Satoshi YAMAGUCHI
1
,
Masaaki TAKEDA
1
,
Kaoru KURISU
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Hiroshima University Graduate School of Biomedical and Health Sciences
キーワード:
脊髄硬膜動静脈瘻(spinal dural arteriovenous fistula)
,
手術治療(surgical treatment)
,
手術手技(surgical procedure)
Keyword:
脊髄硬膜動静脈瘻(spinal dural arteriovenous fistula)
,
手術治療(surgical treatment)
,
手術手技(surgical procedure)
pp.1081-1085
発行日 2016年12月25日
Published Date 2016/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200508
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はじめに
脊髄硬膜動静脈瘻(spinal dural arteriovenous fistula:以下,dural AVFと記載)の治療には,外科治療,血管内治療という2つのオプションがある.外科治療では硬膜動静脈シャントよりも遠位(脊髄側という意味)で硬膜内へ逆行する流入血管(arterialized draining vein)を遮断する.血管内治療ではn-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)などの液状塞栓物質によって動静脈シャント(AVF)そのものを閉塞させる.従来どちらも有効な治療とされてきたが,最近のmeta-analysisでは,初回治療でのAVF閉塞率は外科治療で96.6%,血管内治療で72.2%であった.再発のオッズ比も血管内治療が外科治療よりも高く,NBCAを用いた塞栓治療後の再発率は23%と報告されており,初回閉塞率,再発率いずれの観点からも,外科治療の優位性が示されたかたちとなった2).血管内治療を推奨する背景には,本疾患の患者が高齢,高度動脈硬化などの全身麻酔リスクのあるケースがまれではなく,血管内治療の低侵襲性が好適と考えられること,治療合併症の1つである遅発性静脈内血栓症をきたした場合に抗凝固治療を実施しやすいこと3),などがあるが,上記報告を踏まえると,外科治療は今後も必ず有しておくべき治療オプションであると確信する.ここでは,Dural AVFの好発部位によって,1)中位胸椎〜腰・仙椎病変,2)頭蓋頸椎移行部病変,に分けて,外科治療の実際,留意点などを述べることにする.
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