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特集 脳脊髄液—どこからどこへ
循環しない脳脊髄液—MRI Time-SLIP法による観察
Cerebrospinal Fluid Dynamics:MRI Time-Spatial Inversion Pulse Technique
山田 晋也
1
Shinya YAMADA
1
1東芝林間病院脳神経外科,水頭症・脳脊髄液センター
1Department of Neurosurgery, Toshiba Rinkan Hospital
キーワード:
脳脊髄液生理(CSF physiology)
,
MRI
,
タイムスリップ(Time-SLIP)
Keyword:
脳脊髄液生理(CSF physiology)
,
MRI
,
タイムスリップ(Time-SLIP)
pp.711-717
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200189
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はじめに
日常的に使用される診断法である脊髄ミエログラフィー法は腰椎穿刺と造影剤の注入が必要であるが,ここで紹介するMRIを使ったtime spatial inversion pulse(Time-SLIP)法を使用することで,穿刺も造影剤の注入も必要とせずに脊髄における脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)の診断が可能となった36).造影剤を注入しないので,狭窄した脊髄腔などでのCSFの生理的,あるいは病的な状態での動態(dynamics)が造影剤注入の影響なしにそのままの状態で描出されてくるために,より正確な診断ができる可能性がある(図1).CSF動態の異常によって生じる水頭症,脊髄空洞症,くも膜囊胞や,間接的にCSFの動態の情報が重要となる脊椎間狭窄症などの疾患の治療には,個々の症例でのCSF動態を理解することが重要であることはいうまでもない.しかし,現状では生理的状態におけるCSF動態生理でさえも,私たちはその一部の側面を理解するにとどまっている.まずCSFの動態(循環とあえてしない)生理と画像化による理解の変遷についての簡単な歴史に触れ,Time-SLIP法で観察されてきたCSF dynamicsについて述べる.
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