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特集 脳脊髄液—どこからどこへ
脊髄・神経根のくも膜の解剖・生理
Anatomy and Function of the Spinal Arachnoid
田口 敏彦
1
Toshihiko TAGUCHI
1
1山口大学大学院医学系研究科整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Yamaguchi University Graduate School of Medicine
キーワード:
脊髄くも膜(spinal arachnoid)
,
解剖(anatomy)
,
機能(function)
Keyword:
脊髄くも膜(spinal arachnoid)
,
解剖(anatomy)
,
機能(function)
pp.705-709
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200188
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はじめに
脊髄は,脳と同様に保護と支持を必要とするデリケートな半固体状の構造物である.それらは髄膜で被包され,脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)に浮いた状態で脊柱管内におさまっている.髄膜は,脳,脊髄,および脊髄前根,後根を覆う膜組織であり,最外層の硬膜,中間層のくも膜,最内層の軟膜の3層からなる.硬膜は綴密結合組織性被包である.軟膜は薄い透明な結合組織性膜であり脊髄の表面に付着しており,脊髄の外表面に沿って正確にその輪郭をなぞっている.これら2種の膜の間にある細網線維でできたデリケートな透明な膜がくも膜である.軟膜とくも膜は類似の構造をとるので,まとめて広義の軟膜とも呼ばれる.
くも膜の解剖・生理には硬膜,軟膜についての説明が必須であるので,硬膜,硬膜外腔,軟膜についても述べる.
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