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はじめに
脳神経および脊髄神経の根は,教科書的な分類に従えば,もちろん末梢神経の一部であり,これに属する。しかしながら,この脳脊髄神経根は,末梢神経でありながら,他の末梢神経には見られない,いくつかの解剖学的特徴を有する。すなわち,①中枢神経組織と同様,頭蓋内または脊椎管内に位置し,常に脳脊髄液に浸って存在する。②末梢神経が,腓腹神経を除き一般に混合神経であるのに対し,脊髄前根は,後述のように従来考えられてきたほど純粋ではないにしてもほぼ運動性線維から,後根は知覚性線維から成る。③ヒトの脳脊髄神経根はすべて,その近位部に中稲神経組織部分(central segment)を有し,ここで末梢神経組織部分(peripheralsegment)との移行が起きる。④神経根は,epineuriumを欠き,root sheathと呼ばれる独特の鞘でおおわれ,endoneuriumのcollagenが少ない,などの諸点である。
このような神経根の解剖学的特殊性は,神経根病変の発生機序や形態像にも密接に関連しているであろう。すなわち,神経根の病変には,他の末梢神経病変と同様の機序で発生し,同様の形態像を呈するもののほかに,同様の機序で発生しながら異なる形態所見を示すものや,あるいは,他の末梢神経ではありえない発生機序と形態像を示す神経根独特の病変の存在することなどが考えられる。
The cranial and spinal nerve roots have their own peculiar structures which are not seen in the other peripheral nerves. They are summarized as follows.
1) The cranial and spinal nerve roots are located within the cranium or vertebral canal and always bathed in the cerebrospinal fluid throughout their length.
2) In contrast to mixed spinal nerves which contain both motor and sensory nerve fibers, spinal nerve roots consist of either motor or sensory nerve fibers alone, although some workers indicate that about 15 % of all the anterior root fibers are sensory in nature.
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