Japanese
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特集 臨床現場での脳・脊髄連関
髄膜癌腫症
Leptomeningeal Carcinomatosis
高橋 英明
1
Hideaki TAKAHASHI
1
1新潟県立がんセンター新潟病院脳神経外科
1Section of Neurosurgery, Niigata Cancer Center Hospital
キーワード:
髄膜癌腫症(leptomeningeal carcinomatosis)
,
脊髄円錐症候群(conus medullaris syndrome)
,
髄注化学療法(intrathecal chemotherapy)
Keyword:
髄膜癌腫症(leptomeningeal carcinomatosis)
,
脊髄円錐症候群(conus medullaris syndrome)
,
髄注化学療法(intrathecal chemotherapy)
pp.629-635
発行日 2015年7月25日
Published Date 2015/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200171
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はじめに
近年,がん治療の進歩は目覚ましく,多くのがん種で抗がん剤の副作用対策やレジメンの進歩,さらには分子標的薬の登場により,再発がんや進行がんにおいても全身のコントロールが良好になってきている.それとともに,血液脳関門や血液髄液関門により閉ざされている中枢神経系合併症が相対的に増加し,脳転移をはじめ,頭蓋内硬膜転移,脊髄硬膜転移,髄膜癌腫症の症例を経験する機会が増えてきている11,13).髄膜癌腫症はがんの髄液腔内播種として定義されるが,肺がんや乳がんなどの固形がんはもちろんのこと,リンパ腫,骨髄腫,白血病といった血液がんでも中枢神経浸潤の1つの病態として認められる.髄膜癌腫症は頭痛,嘔吐,項部硬直を3徴とする髄膜刺激症状を呈することで有名であるが,脳神経麻痺や水頭症,脊髄症状など多彩な症候を呈することから診断が難しい疾患である18).加えて,がん年齢の高齢化から腰痛として診断が見逃されることもあるし,椎骨転移からの硬膜浸潤などを介しての発症があることから脊椎脊髄疾患としての一面をもち注意を要する.本稿では,固形がんの髄膜癌腫症について概説する.
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