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特集 最小侵襲脊椎安定術(MISt)の実際
Balloon kyphoplasty(BKP)の最新知見
Current Concepts of Balloon Kyphoplasty
戸川 大輔
1
Daisuke TOGAWA
1
1浜松医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
バルーンカイフォプラスティー(balloon kyphoplasty)
,
骨セメント(bone cement)
,
後弯(kyphosis)
Keyword:
バルーンカイフォプラスティー(balloon kyphoplasty)
,
骨セメント(bone cement)
,
後弯(kyphosis)
pp.505-509
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200142
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はじめに
2007年に65歳以上の人口が総人口の21%を超えて超高齢社会へ突入した本邦において,高齢者に多い骨粗鬆症とそれによる脆弱性骨折の診療の重要性が日ごとに増している.骨粗鬆症性椎体骨折は,骨粗鬆症を原因として発生する脆弱性骨折の中で最多の骨折である.通常この椎体骨折に対しては,2〜3カ月の保存療法で約8割の椎体骨折に骨癒合が得られ,QOLを再獲得できるが,約2割の椎体骨折は遷延治癒となる.さらに,骨癒合が得られずに経過すると癒合不全,偽関節と進行し(表1),著明な体動時痛のためにQOLが障害され16),一部は神経障害(遅発性麻痺)をきたすほど圧潰する14).Balloon kyphoplasty(BKP)は椎体骨折の保存療法無効例や,溶骨性脊椎腫瘍に対する経皮的椎体形成術の1手術手技として開発された3).その後,BKPと保存療法とのrandomized controlled trialも行われ17),BKPの有効性は現在も世界中で認められ施行されている.本邦でも2005年から行ったBKP臨床治験で良好な疼痛緩和とQOL改善が示され,2011年1月に保険診療が可能となって,現在では全国的に行われるようになっている.
本稿では,骨粗鬆症性椎体骨折診療の現状での問題点について,BKPについての最新知見について述べる.
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