Japanese
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特集 脊椎脊髄の冠名徴候・症候群
Ⅱ.冠名症候群
Charcot病
Charcot Disease
熱田 直樹
1
Naoki ATSUTA
1
1名古屋大学医学部附属病院神経内科
1Department of Neurology, Nagoya University Hospital
キーワード:
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)
,
改訂El Escorial診断基準(the revised El Escorial criteria)
,
前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration)
Keyword:
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)
,
改訂El Escorial診断基準(the revised El Escorial criteria)
,
前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration)
pp.378-380
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200113
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オリジナルの定義
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)を示す別名として,Jean-Martin Charcot(1825-1893)の名を冠してCharcot病と呼ばれる.
初めてALSを正確に報告したのが「神経学の父」と呼ばれるCharcotであり,最初に1869年に2剖検例が報告され,続いて集積された症例の詳細な臨床および病理学的所見が1872年に報告1,2)された.Charcotはパリのサルペトリエール病院での講義でALSの特徴を詳細に説明しており,記録が残されている.そこでは疾病の段階が3段階に分けられ,第1段階には上肢の麻痺と急激な筋萎縮,spasmodic rigidity seizureと拘縮が現れ,第2段階は下肢の麻痺と筋萎縮が出現し,起立歩行不能となり,緊張性脊髄けいれんが現れ,第3段階は球麻痺症状が出現する.これらの3つの段階は順次起こってくるが,発症後半年〜1年ですべての症状が現れ,一貫して進行性で平均して2〜3年後には死に至る.膀胱,直腸は正常であり,褥瘡はあまりみられない.症状は上肢からとは限らず,下肢から生じる場合や球麻痺から生じる場合があり,ときに初期には片側性で片麻痺のようにみえることもあると記されている.
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