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特集 認知症基本法と作業療法—共生社会において個性と能力が発揮できる支援
活動パートナーの経験を通して
Through the experience of activity partners of people with dementia
服部 優香理
1,2
Yukari Hattori
1,2
1老人保健施設サントピアみのかも
2一般社団法人ボーダレス
pp.1052-1058
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203956
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Key Questions
Q1:認知症当事者が安心して思いを語れる環境とは?
Q2:当事者の主体的な活動の伴走支援とは?
Q3:専門職に求められる姿勢とは?
はじめに
2015年(平成27年)12月にA市で開催された若年性認知症本人家族交流会に参加した.会の終了後,一人の女性に「あなた,作業療法士さん? 私,若年性認知症なの.服を着るのが難しいので,よい方法があったら教えてね」と話しかけられた.それが認知症当事者(以下,当事者)の山田真由美さんとの出会いだった.当事者から日常生活の困りごとを具体的に相談されるのは初めての経験だった.山田さんの表情は笑顔で,チャレンジ精神に満ちあふれていた.山田さんは診断後約2年間閉じこもりがちな生活を送っていたが,同じ症状のある同年代の女性との出会いや,当事者の講演をきっかけに笑顔を取り戻し,勇気とパワーをもらったのだそうだ.
その後,私は山田さんの活動パートナーの一人として,講演,旅行,食事,ショッピングを共に楽しんできた.また,岐阜県内の作業療法士と認知症本人と家族の交流の場「ジョイントカフェ」(現在活動休止中)を運営し,多くの当事者や家族と出会うことができた.2020年(令和2年)からは認知症と共に生きる人たちの経験を起点に,多様な活動を展開するコミュニティでありプラットフォームであるborderless with dementia(現 一般社団法人ボーダレス)のメンバーとして,多様な仲間と活動をしている.
今回,私の8年間の経験と,出会った当事者,家族から学んだことを書き留めた.作業療法士の方々の活動のヒントになれば幸いである.
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