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Key Questions
Q1:WHO Housing and Health Guidelinesで勧告された内容とは?
Q2:健康日本21(第三次)に追加された住環境整備に関連する記載とは?
Q3:住まいの温熱環境改善が疾病・看護予防に及ぼす効果とは?
WHO勧告と健康日本21
WHOは,2018年11月に「WHO Housing and Health Guidelines」1)を公表し,住まいの冬季最低室温18℃以上,住まいの新築・改修時の断熱工事,夏季室内熱中症対策等を各国に勧告した.この動きは,わが国では「住生活基本計画」改正〔2021年(令和3年)3月閣議決定〕,「住宅の品質確保の促進等に関する法律」改正による断熱等級7までの創設〔2022年(令和4年)3月公布〕,「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」改正による住宅新築時の省エネ基準適合義務化(2022年6月公布),住宅省エネ対策に対する補助金・税制優遇・融資の充実等の住宅政策に反映されてきた.
一方,これに対して,2023年(令和5年)5月に厚生労働大臣から告示された「健康日本21(第三次)」には,“建築・住宅等の分野における取組と積極的に連携することが必要”2)と,はじめて明記されたところである.その根拠にも参照されている研究が,国土交通省が,厚生労働省と連携して,2014年度(平成26年度)からスマートウェルネス住宅(以後,SWH)等推進事業の一環として取り組んできた「住宅の断熱化と居住者の健康への影響調査」である3).筆者は,医学・建築学の専門家約90名で構成される委員会の幹事と調査解析小委員会の委員長を務めている.断熱改修等による住まいの改善が居住者の健康に与える影響に関する2,000世帯・4,000人規模の全国調査(SWH全国調査)を実施し,2024年(令和6年)5月現在で,医学系原著論文12編が刊行された.本稿では,それらの概要と筆者らによるその他の成果を紹介する.
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