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特集 感覚統合理論・療法の今を考える—効果的な実践のために何が必要か
感覚統合の効果をどう考え,どう示していくのか?
How do you think and present the effectiveness of sensory integration therapy?
加藤 寿宏
1
Toshihiro Kato
1
1関西医科大学
pp.470-476
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203793
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Key Questions
Q1:感覚統合療法の効果をなぜ示す必要があるのか?
Q2:感覚統合療法の効果研究に関する現状と課題は?
Q3:感覚統合療法の効果をどのように示していくのか?
なぜ,効果を示す必要があるのか?
「感覚統合療法の効果を示すことは必要ありません」と私がいったら,感覚統合療法を実践している人は驚くであろう.その理由は,ほとんどの人が「感覚統合療法の効果を示さなければいけない」と思っているからであろう.では,「なぜ,感覚統合療法の効果を示す必要があるのか」という問いに対し,皆さんはどのように答えるであろうか?
中村1)は“治療者は,学問的,倫理的,政治的,営利的,売名的な意図さえももって,治療効果の判定の研究に取り組む”と述べている.効果を示す理由について,「子どもに自分の行った治療が本当によかったのかどうかを確認する」は,倫理的な意図を含んだ答えであろう.「体性感覚の感覚情報処理が協調運動にどのような影響を及ぼすのかを解明するため」は学問的な意図であり,「うちの施設で実施した感覚統合療法の効果を確認する」は倫理的な意図に若干,営利的な意図も加わるかもしれない.多くの場合,学問的,倫理的な意図に,それ以外の意図が少し入ることもありながら,「効果を示す必要がある」と考えるのであろう.
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