巻頭言
認知症について—自分の歩いてきた歴史を振り返って
小阪 憲司
1
1クリニック医庵センター南
pp.797
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205443
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昭和40年(1965)に金沢大学医学部を卒業した私は,名古屋で1年間のインターンを終えた後,名古屋大学の精神神経学教室に入局し,それ以来,主に認知症の臨床と研究を続けてきた。小学校の頃に赤十字の父と言われたアンリ・デュナンに憧れて医師になり,いろいろな神経精神医学を経験し,神経病理学グループに属しているうちに,当時はほとんど関心が向けられていなかった「認知症の臨床・神経病理」に関心を持ち,1970年代からは,私が提唱したレビー小体型認知症と神経原線維変化型認知症についての臨床と研究を主体に続けてきた。
私が提唱した「レビー小体型認知症(DLB)」は現在ではアルツハイマー型認知症に次いで二番目に多い認知症であることが知られているが,認知症という名前がついているので,誤診されていることが多い。特に,いろいろな精神症状やパーキンソン症状や自律神経症状などが先行することが多いので,誤診されやすい。DLBでは坑精神病薬に対する過敏性があるために,精神症状に対して抗精神病薬を安易に投与するとかえって症状が悪化し,取り返しのつかないことが起こることが少なくないので,特に精神科医はDLBをよく理解し,正しい対応をしなければならない。
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