増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第4章 支援技術Ⅲ 生活期:生活の広がりに向けて
6 生活期における作業に根ざした実践
寺岡 睦
1
Mutsumi Teraoka
1
1吉備国際大学
pp.931-934
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202640
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はじめに
本論では,脳卒中後遺症のあるクライエントを対象に,生活期における作業に根ざした実践(occupation-based practice:OBP)について解説する.OTは生活期で,個人に合わせた生活への適応や社会参加の拡大等,クライエントの生活機能の向上という役割が期待されている.こうした期待に応える実践としてOBPがある.OBPは,評価と介入で実際に作業を行う1).OBPは評価で作業に焦点を当てた面接と観察を行い,介入では実際に作業に取り組む機会を提供し,必要な作業をできるようにしていく.
類似する概念に,作業中心の実践(occupation-centered practice:OCP)と,作業に焦点化した実践(occupation-focused practice:OFP)がある.OCPは,作業や作業的存在等,専門家特有の視点をOTの中核概念に置き,そこからその他の概念と関連づけることである.OFPは,クライエントの作業に注意を向け,評価や介入は現在の作業に焦点を置くことである.
OBP,OCP,OFPはいずれも作業療法実践に必要な視点であるが,それぞれの実践の違いとして,OCPは作業療法の世界観を示しているのに比べ,OBPとOFPはOCPを前提とする作業療法の実践である.本論は生活期におけるOBPがテーマではあるが,OFPやOCPを含む作業療法実践について論じる.
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