増刊号 急性期における疾患別作業療法
第1章 総論
4 急性期からの生活行為向上マネジメントの実践
新名 大介
1
,
矢口 菜奈
1
,
友竹 絢美
1
,
佐藤 真衣
1
Daisuke Shinmyo
1
,
Nana Yaguchi
1
,
Ayami Tomotake
1
,
Mai Sato
1
1徳島赤十字病院
pp.791-796
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203455
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はじめに
生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance:MTDLP)とは,「人は作業を行うことで健康になれる」というテーマのもとに1),クライエントの自己実現や成長,自分自身や社会への貢献,仕事や趣味の重要性を理解し,価値のある作業に再び従事できるように支援するためにつくられた,OTのための思考のフレームワークである.OTがMTDLPを活用し,適切に情報を収集したうえで治療プランを構築することで,クライエント自身の能力を最大限に引き出せ,価値のある生活行為を明確にして,目標指向的アプローチを行うことができる.
集中治療の現場では,疾患の重症度に加えて,治療により安静度に制約があり,さまざまな医療機器や生命維持装置が装着されていることが多いため,有効なリハを実践することは決して容易ではない.本領域では,作業療法の実施率の低さや認知・認識度の低さ,作業療法の専門性を発揮することの難しさの問題点が挙げられている2).しかし,本人の生活歴の中から,考え方や価値観,今後の目標を共有し,たとえ治療介入としては不十分であっても,MTDLPを急性期から実践することで,次の回復期や生活期へ,クライエントの想いも作業療法も一貫して,シームレスに紡いでいくことには大きな意味がある.
今回,徳島赤十字病院(以下,当院)で実践している作業療法を踏まえながら,対象者の想いに寄り添うためのMTDLP活用のポイントについて述べようと思う.
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