講座 身体障害者補助犬を知ろう!・第4回
介助犬—理学療法士の役割
野口 裕美
1
Hiromi Noguchi
1
1四條畷学園大学
pp.590-597
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203400
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身体障害者補助犬法とリハ専門職(PT,OT)
2002年(平成14年)10月1日「身体障害者補助犬法」が施行された.この法律の目的は,良質な「身体障害者補助犬」(以下,補助犬)の育成およびこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り,身体障害者の自立および社会参加の促進に寄与することである.補助犬が身体障害者の自立と社会参加の手段としてリハの一環と考えられるようになり,20年が経過しようとしている.しかし,この法律の周知度は十分とはいえず,特に医療従事者の補助犬に対する認識はいまだ低いのが現状である.この法律により,盲導犬,聴導犬,介助犬を補助犬と総称し,補助犬は身体障害者の自立と社会参加に資するものとして訓練・認定された犬であり,身体障害者の身体機能の一部を担うものとして位置づけられた.この法律内にて,介助犬の育成事業に関して,介助犬訓練を医療関係者と連携することの必要性が示されており,同法 第2章の第3条に明記されている.さらに,「身体障害者補助犬法施行規則」第2条の3には,訓練事業者が協力を得なければならない医療従事者として,具体的に「理学療法士」,「作業療法士」の名称が挙げられている.
また,障害関連3法の改正とともに,補助犬は「福祉用具等」とされたことから,福祉用具の一つとして,生きた補装具としての位置づけをもった.補助犬は一般的な装具と同様,本人のニーズに合わせた処方と判定等の評価がなければその目的は適切には果たすことができない.そのため,補助犬の訓練において,特に介助犬に関しては,リハ専門職が訓練事業者と連携をとって身体障害者に提供されなければならない1).
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