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2022年8月27日(土),28日(日)にライブ配信,8月25日(木)〜9月11日(日)にオンデマンド配信として,日本職業リハビリテーション学会第49回宮城大会が開催された.小生は,当該学会の運営理事を務めており,本大会では学会主催ワークショップのバックアップ,研究・実践発表の座長,また自身の演題発表のため,宮城県の会場より参加した.
基調対談では,「職業リハビリテーションにおける立場性を考える」をテーマに,大会長の相澤欽一氏,社会福祉法人太陽の家の山下達夫氏による意見交換が行われた.職業リハは,障害者,家族,企業,支援者等,さまざまな立場の者がかかわるが,立場の違いから支障が生じることがある.登壇した山下氏は,障害当事者であるとともに,就労訓練や一般就労,起業経営の経験をしている.以下,山下氏から語られた内容を一部紹介する.就労支援が実践される場面によって,障害当事者,支援者,起業経営者と自分の立場が異なる.立場が混在した状態で対応することは,周囲の混乱を招く可能性があることも認識している.たとえば,支援者や経営者が対応できる内容に限界があることも知っている.また,障害者が自身の障害に対する配慮を求めることは当然の権利であるとともに,あらゆることに対して配慮を求めるのはまた違う.支援者のみならず,障害者も,支援の手には限界があることを認識する必要がある.就労は,雇用契約が生じるものであり,労働者には労働のパフォーマンスを発揮してもらうことが求められるのは当然である,との見解を山下氏は述べていた.小生の立場を支援者側と置いた場合に,障害者が就労に関する良好なパフォーマンスを発揮できるようになるためには,状態像を的確に捉えていく,つまりアセスメント力が求められていると感じた.
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