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2020年(令和2年),新型コロナウイルスの出現によって,私たちは人や社会とつながることの分断を余儀なくされた.最初は「コロナが終息したらね,活動再開しましょう!」等とのんきに,明るい展望で構えていたが,徐々にそんなに甘くない状況だということを私たちは身をもって感じることになった.人がつながることに関していえば,社会的距離を保って近づかない! 接触しない! 話さない! 会食しない! 移動しない! ないない尽くし! そのうえマスクで表情も読み取れない! 何がつらいって,つながりを制限されることで閉塞感と孤独感に満ち,生活の質も担保しづらい,こんなにも大変な状況であるとは…….日が経つにつれ,地域で暮らしている患者さんたちの身体的な機能低下や,ポジティブな感情の維持が難しくなってきていることを聞く機会が多くなってきた.こんなときこそ,さまざまな気持ちや情報をシェアするリアルな場が必要なのに,つながれないもどかしさを身をもって感じる.
コロナ禍以前,私はパーキンソン病(以下,PD)患者さんや高齢者の5つのグループに,それぞれ1カ月に1〜2回,パーキンソンダンスを実施していた.ADL上で困難な動作をダンスエクササイズによって改善を図るもので,身体機能や認知機能に対するアプローチはもちろんのこと,皆さんが集って和気あいあいと,生き生きと動かれる様子は,まさにダンスならではの精神機能面へのアプローチでもある.それはダンスの特徴であるリズムと場と時間を共有することで湧き起こる快感情,他者の動きを見たり模倣することによって伴う一体感,身体を動かすことによる身体機能に対する効果,集団で踊ることを楽しみ,そこから生まれる安心感等が作用していると考えられる.みんなで集いダンスすることが,参加者の方々の日常のリハに対するモチベーションにつながっていると考えてきた.
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