連載 リハのためのニューロダンス【最終回】
精神科疾患をもつ方のためのニューロダンス
橋本 弘子
1
Hiroko Hashimoto
1
1藍野大学
pp.549-554
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100147
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はじめに
ついに,このシリーズも最終回の3回目である.1回目は「発達障害をもつ子どものためのニューロダンス」,2回目は「認知症の方のためのニューロダンス」について,ダンスの特徴をニューロサイエンスの分野から読み解き,疾患の特徴に対しダンスの治療的要素をどのように使えばいいのかを具体例を交えながら述べてきた.最終回は「精神科疾患をもつ方のためのニューロダンス」について述べる.
ダンスは現在,精神科病院,デイケア等でよく実施されているプログラムである.しかし筆者は,その目的や方法,効果について曖昧に実施されていることが多いと感じている.身体機能の維持向上,情動の発散等が目的に挙がるものの,単に音楽に合わせて身体を動かすといった内容や,「いつもより楽しそう」,「いつもより動いている」といった対象者の変化に対するセラピストの感想にとどまっていることが多い.ダンスはイメージを使って動く創造的な活動である.また同じ動きや組み合わせた動きを何度も繰り返し,動き方を身につけ,感情を伴う身体活動でもある.そして脳内では大脳基底核を働かせ,計画,判断,行動といった認知機能を駆使している.セラピストが精神疾患とダンスの特徴を把握しながらリハに何が必要かを考え,対象者に投げかける言葉,使用する音楽,動き,空間等,さまざまな要因について,脳機能への働きかけを推察し効果を検証していくことは,ニューロダンスの一歩になるだろう.
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