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ドラえもんとOTの専門
コロナ禍において望むことは,ドラえもんの存在と,親友ののび太君の要望に応えるためにひみつ道具を取り出せる四次元ポケット,そして,取り出されるさまざまなひみつ道具である.そのひみつ道具の中で特に代表的なものは,目的地に瞬時に移動できる「どこでもドア」や頭頂部に取り付けるだけで空が飛べる「タケコプター」である.新型コロナウイルス感染症の防止対策として「不要不急の移動の自粛」を求められているが,どこでもドアやタケコプターがあれば,移動によるリスクはなくなる.さらに,ドラえもんなら飛沫と一緒に放出されたウイルスを目に見えるようにするサーチライト,感染から身を守ってくれる透明なウイルス除去シールドもしくはウイルスを寄せ付けない衣服,マスクを着用しながらでもウイルスの感染を防ぎ食事ができるマスクといったひみつ道具を四次元ポケットから出してくれるに違いない.夢のような話である.
筆者は現在,OTとして,臨床の現場で日々患者からの要望に応えているが,コロナ禍で,感染対策としての生活指導や,新しい生活様式が求められる中で,新しいジャンルの生活支援用具の作製依頼がある.まるで,のび太君とドラえもんのようなやり取りである.のび太君は自分でできないことをドラえもんにお願いし,要望に応えられるひみつ道具を出してもらい,夢や希望を叶える.OTは生活支援用具を作製し,患者の希望を叶える.時にはのび太君が「無理難題」をドラえもんにお願いする場面もあるが,そんなときでもドラえもんは少し悩みながら視点を変えて,その要望に応えられるひみつ道具を見つけ出す.そのドラえもんの対応力は,OTの専門である生活支援用具を作製するうえで非常に勉強になる.
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