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関節リウマチの作業療法における生活支援技術の現在・過去・未来
近年,関節リウマチ(reumatoid arthritis:RA)の薬物療法は劇的な変化を遂げている.抗リウマチ薬であるメトトレキサート(methotrexate:MTX)の登場で,病状の進行を緩和し,症状を安定させることができるようになった.さらに生物学的製剤の登場により,臨床的・構造的・機能的寛解が望める時代へと移り変わっている.しかし,治療の4本柱である薬物療法,手術療法,リハビリテーション,基礎療法のトータルマネジメントは今も昔もその重要性は変わらない.
そのような状況のなか,T2T(treat to target:目標達成に向けた治療)という新しい考えのもと,リハビリテーションにおいても治療効果の数値目標を明確にし,目標達成に向けて対象者の理解を得ながら各療法と連動し,治療環境のさらなる充実を図るための取り組みが求められている.リハビリテーションによる治療目標としては,対象者の身体機能,精神機能,ADL(activities of daily living),IADL(instrumental activities of daily living),QOL(quality of life)を維持・継続が挙げられる.作業療法における生活支援技術へのアプローチは,障害を補う取り組みから,充実した質の高い動作を安全に安心して継続して行える取り組みへと変化を遂げている.そして,将来寛解レベルがさらに完治に近づけば,作業療法士が臨床の場面で専門的に生活支援へ取り組む機会がさらに減少する時代が訪れることが予想できる.そのような時代を見据え,生活支援における作業療法がT2TのONE PIECEとして認識されるよう,その効果を明らかにし,明確な数値目標を設定するなどの見直しが今まさに必要ではないかと考える.
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