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編集後記
西出 康晴
pp.322
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202458
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協会の「がん」専門作業療法士の制度設計の際,がん患者に携わる専門作業療法士の方との出会いは,貴重な経験であった.がん患者に携わる作業療法士の専門性の確立のための会議は,日本,そして世界でのがん治療の知識と自らの現場での経験を出し合い,アカデミックで情熱にあふれる時間であった.その中で,「がん患者」へのチームアプローチにおける作業療法の役割・重要性等について,多くの情報をもらい,あたかも自分が経験したことのように思えるくらい引き込まれた.「脳腫瘍」における作業療法の知識等もずいぶん教えていただいた.本特集は,がんのリハビリテーション,そして脳腫瘍患者への作業療法が,体系化され,より効果的な作業療法へと進化していることがうかがえる内容であり,会議のときの感覚が蘇るように感じた内容であった.
また本号では,個人的にずっと心待ちにしていた,岸本光夫氏企画の講座「子どものあやし方,褒め方,叱り方,励まし方」をお薦めしたい.発達障害児の治療において主たる治療手技ではないが,なくてはならない作業療法士のスキルといっても過言ではない.ある意味,コミュニケーションの手段であり,治療を支える基盤であると同時に,治療の良し悪しを左右する重要なポイントにもなり得るものとも感じている.「あそこで,もう少し落ち着くのを待ってから,次の場面展開に移っていれば……」,「あそこの場面でしっかり褒めておけば……」と同じような反省は幾度となくしたことか.
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