増刊号 精神科作業療法
第3章 疾患別の作業療法
1 作業の視点からみた依存症
佐藤 嘉孝
1
Yoshitaka Sato
1
1岡山県精神科医療センター
pp.798-804
発行日 2020年7月20日
Published Date 2020/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202183
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はじめに
近年,わが国の保健医療福祉分野において依存症対策は急速に進んでいる.例を挙げると,依存症対策総合支援事業,アルコール健康障害対策基本法,再犯防止推進計画における薬物依存を有する者への支援(刑の一部執行猶予制度等),第五次薬物乱用防止五か年戦略,ギャンブル等依存症対策推進基本計画等がある.ゲーム依存症についても,厚生労働省にて,ゲーム依存症対策関係者連絡会議が開催されている.
また,診療報酬制度で依存症に特化したものとして,重度アルコール依存症入院医療管理加算,依存症集団療法等があり,必要な職種としてOTも明記されている.
依存症は脳機能障害であり,慢性疾患に位置づけられ,老若男女問わず,多くの身体疾患や社会問題とも複雑に絡み合っている.しかし,潜在者数に対して適切な治療支援を受けている者の数は大変少ないともいわれる.
本稿では,こうした背景のもと,OTはどのように依存症を理解し作業療法を提供すればよいのか,そのポイントについて筆者の見解を述べる.
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