増刊号 発達障害の作業療法
第3章 評価・治療・支援技法
6 認知行動療法的アプローチ
明翫 光宜
1
Mitsunori Myogan
1
1中京大学心理学部
pp.841-845
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201390
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はじめに
発達障害研究において,支援の有効性が示されたのは行動療法的な療育からであった.その後の発達障害研究の中で,発達障害概念がスペクトラムであることが明らかになり,比較的症状が軽微な人々を支援者が対応するようになってきている.多くの発達障害を抱える人々は,対人関係が不得手であり,また感情調整や感情理解が難しいことが徐々に明らかになってきた.
このような事情の中で,支援技法として自閉スペクトラム症を中心とした発達障害の方々に認知行動療法が提供されるようになってきている.Hoら1)のレビューによれば,自閉スペクトラム症を抱える子どもたちに認知行動療法的アプローチが行われだしたのは世界的にもここ20年である.初期の介入研究は事例研究によるパイロットスタディであったが,後により条件統制された大きな実験的研究になり,外的妥当性のエビデンスを提供する再現可能な研究へと発展している.Hoら1)は,認知行動療法的介入の大きなメリットは治療効果の維持と般化の可能性にあるとしている.
本稿では,発達障害領域(自閉スペクトラム症)の認知行動療法的アプローチとして筆者が実践しながら感じていること,工夫していることを紹介したい.支援例として何人かのやり取りを例示するが,筆者の臨床実践で出会った方々の事例を組み合わせた架空事例であることを予め断っておく.
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