増刊号 発達障害の作業療法
第1章 総論
6 発達症(発達障害)と精神科医療
山本 直毅
1
,
今村 明
1
Naoki Yamamoto
1
,
Akira Imamura
1
1長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部
pp.728-732
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201368
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はじめに
近年,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: ASD)や注意欠如・多動症(attention deficit/hyperactivity disorder: ADHD)や限局性学習症(specific learning disorder: SLD)等の発達症(本稿では「発達障害」をこのように表記する)の子どもや,その他のさまざまな心の問題を抱えた子どもが精神科外来を訪れることが増えている.その中には主に小児科をはじめとした他科からの紹介も多く含まれる.大都市でも地方都市でも,専門外来を受診するには半年〜1年待ちということも多く,その状況は当院でも変わりがない.
このような子どもにおける精神科医療のニーズの高まりを受けて,長崎県においても,児童相談所等との連携を行い,また児童青年期精神医学領域に対応できる医療関係者を育成する目的で,2015年(平成27年)10月に「長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部」が設立された.本稿では当診療部での取り組みに触れながら,発達症児にかかわる精神科医の役割,他の診療科と精神科医療とのかかわり,発達症のスティグマ,発達症と司法の領域等について論じる.
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