わたしの大切な作業・第4回
絵を描くこと
林 望
pp.591
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201328
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思えば、小学生時分から、私は絵を描くのが大好きであった。高校生の頃には絵描きになりたいとも思ったが、本職とするほどの才能はないことを自覚して、文辞を仕事に選んだ。が、その文章の仕事の合間にも、心の赴くままに絵を描くということをずっと続けてきたのは、やはり三つ子の魂というものであろう。私の絵は自己流ではなくて、洋画家の青木義照(ぎしょう)画伯に師事し、デッサン、油絵、水彩など、基礎的な稽古をしたのである。先生からは、ともかく描く対象を凝視観察して、ありのままに描くようにと教えられ、洒落たつもりで余計なことを描くと、先生はいつも厳しく叱ってくださったものだ。
いまは油絵は描かず、もっぱらペン画や鉛筆画、そして時には水彩画を描く。そうして、自著の挿し絵や装画を自分で描くようにもなった。
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