ひとをおもう・第3回
経験を共有する
齋藤 佑樹
1
1仙台青葉学院短期大学
pp.566
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201319
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右片麻痺と運動性失語,嚥下障害を抱え,毎日3時間のリハを頑張るハルさんはもうすぐ90歳.この地域の高齢者にはめずらしく,まっすぐに伸びた長い髪をひとつに縛ったその姿は,とてもお洒落に見えました.ハルさんは言葉を発することはありませんが,誰かと目が合うたびに静かに微笑むその姿は,他の入院患者さんや病棟のスタッフをいつも穏やかな気持ちにしてくれました.
毎日3時間のリハを頑張るハルさんでしたが,実は入院当初から施設への退院が決まっていました.自宅には娘さん夫婦が暮らしていましたが,片麻痺に加え意思疎通が難しく,口から食事を摂ることもできずに胃瘻を造設したハルさんを自宅に迎えることが,家族はとても不安だったのです.
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