Essay
喜びの共有
田口 ランディ
pp.256-259
発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903923
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私は20代のころに,ほんの4年(正確には3年と8か月)だけ,重度の身体障害者の方の在宅介護を経験したことがある.と,エラそうに言っても,週1回,決まった時間に行って食事を作り,掃除をし,そして時にはお風呂の介助をして帰って来ただけだ.だいたい,7時頃にアパートに行き,10時頃には帰る.わずか3時間である.
それだけのことなのに,この3年間は本当に苦痛だった.正直に言うが,やめたくてやめたくてしょうがなかった.ようやく3年も過ぎた頃に,介護している相手の障害者と正面切って喧嘩したり文句を言えるようになった.そうなったら,気分が楽になったのだが,気分が楽になったらやめてもいいような気がしてきて,やめてしまった.
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