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Key Questions
Q1:要介護者への排泄リハの3つの視点は?
Q2:要介護者の下部尿路機能障害を評価する目的は?
Q3:下部尿路症状の評価・アプローチ方法は?
はじめに
高齢者施設に入所している要介護高齢者の多くが,下部尿路機能障害を抱えている.吉田ら1)の調査において,施設入所者のおむつ使用は全体の63.5%であったといわれており,介護士によるおむつ交換や排尿誘導等の排泄介護負担は大きい.また平松ら2)の調査では,療養型病棟,老健施設における転倒の約4割が排泄に関連した転倒で,転倒者の6割程度が切迫性尿失禁を有していたと報告されている.一般に夜間頻尿や切迫性尿失禁等の下部尿路症状と転倒・転倒骨折は関連があると報告3,4)されていることからも,入所者の転倒予防を常に意識しながらの業務は介護士の負担を大きくしている.ゆえに,高齢者施設においては,介護負担軽減や対象者の転倒予防およびQOL向上を目的に,対象者の下部尿路機能障害を詳細に評価して,多職種によるアプローチを実施し,下部尿路症状の改善を図りたい.
要介護者への排泄リハは,下部尿路機能,排泄動作,排泄環境の3つの視点で,評価およびアプローチする必要がある(図15)).下部尿路症状は,2〜3日間の排尿日誌を用いると排尿状況が把握できるため,看護師や介護士と連携して,排尿日誌を作成する.排尿日誌の作成・解析方法を表1に記載する.起床後1回目の排尿から翌朝1回目の排尿までの記録が1日分の排尿日誌であり,排尿や失禁ごとに尿量測定をし,排尿回数や尿量計算をすることで,その対象者の下部尿路症状を詳細に把握することが可能である.排尿日誌のデータからは,日中・夜間別のおむつ・パッドの選定や専門医受診の必要性,下部尿路リハ(生活指導,排尿誘導,膀胱訓練,骨盤底筋訓練)の必要性について検討を行う.
今回は,施設職員のOTと排泄リハアドバイザーの大学教員(OT)が連携し,特別養護老人ホーム(特養)入居者に対して実施した排泄リハの計画立案およびアプローチを2例紹介する.
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