特集 即,実践! 小児の下部尿路機能障害の診療
企画にあたって
即,実践! 小児の下部尿路機能障害の診療
野口 満
1
1佐賀大学医学部泌尿器科学講座
pp.943
発行日 2023年11月20日
Published Date 2023/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207950
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小児の下部尿路機能障害では,頻尿,尿失禁,尿勢不良,尿路感染症などが受診契機となることが多い.このため,彼らは日常の泌尿器科外来にやって来る.小児下部尿路機能障害での受診はめずらしいものではなく,泌尿器科医である限り避けては通れない.小児下部尿路機能障害の原因は,先天的な解剖学的・器質的疾患,二分脊椎症,脳性麻痺などの神経因性によるもの,さらには神経疾患がない小児特有の行動異常などで起こる非神経因性下部尿路機能障害など多彩である.一方,排尿自立が確立される4〜5歳までは,患児の排尿状況が病的であると判断されにくい場合も多く,小児ならではの診療アプローチも必要となる.
小児下部尿路機能障害のなかには,難治性尿路感染や腎機能障害のリスクがあるものが存在し,先天性腎尿路異常(congenital anomalies of the kidney and urinary tract : CAKUT)を合併している場合は,AYA(adolescent and young adult)世代以降に末期腎不全に陥ることも少なくはない.このような先天性尿路器質性疾患においては,すみやかに診断を行い,適切な外科的治療が望まれる.
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