Japanese
English
症例報告
全失語を呈した終末期患者に対する作業療法—作業療法介入時にFace Scaleにて評価した1例
Occupational therapy for a terminal patient with total aphasia:A case evaluated with the Face Scale during the OT intervention
池知 良昭
1
,
松原 義浩
2
,
松本 雅光
1
,
三好 美智代
1
,
小野 恭裕
1
Yoshiaki Ikechi
1
,
Yoshihiro Matsubara
2
,
Masamitsu Matsumoto
1
,
Michiyo Miyoshi
1
,
Yasuhiro Ono
1
1香川県立中央病院
2四国医療専門学校
キーワード:
全失語
,
終末期
,
作業療法
Keyword:
全失語
,
終末期
,
作業療法
pp.1146-1150
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201095
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Abstract:【目的】末期がん患者に対する緩和的作業療法では,患者の要望に基づいて重要な作業が同定され,それに対する支援が行われる.しかし,言語機能に障害を有した患者の場合,要望を聴取すること自体が困難になる.今回,全失語を呈した終末期がん患者の重要な作業をFace Scaleを使用して探索し,作業療法場面に導入する試みを行ったため,その結果を報告する.【症例】がんに伴う進行性多発性脳梗塞により全失語を呈した60代の男性を対象にした.【方法】作業中の対象者の表情をFace Scaleを用いて評価し,より笑顔の傾向が強かった作業を中心に作業療法を実施した.また作業に対する対象者の反応を妻に伝え,対象者と妻の交流を支援した.【経過・結果】Face Scaleを用いた評価によって,入浴,絵画,妻の訪問,外の散歩,写真撮影の際に対象者の笑顔の傾向が強いことがわかった.そこで作業療法では,外を散歩して写真撮影をした風景の絵を描くという作業を導入した.また対象者が作業療法中に撮影した写真や描いた絵を妻に見せ,対象者と妻の非言語的な交流を支援した.【考察】全失語の終末期患者の重要な作業を見つける一手段としてFace Scaleは有用であった.作業療法での作品づくりがA氏夫妻が時や場を共有できる作業につながった可能性がある.終末期患者の作業療法では患者の死後,家族の悲嘆からの回復等も視野に入れたかかわりが大切であると考えた.
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