増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第3章 疾患別 上肢・手の困難事例へのアプローチ—具体的介入例とポイント
3 —脳血管障害③肩の痛み—脳損傷患者の肩の痛み
宮下 徹也
1
Tetsuya Miyashita
1
1星が浦病院
pp.754-759
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200998
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はじめに
臨床場面において,痛みはリハを進めるうえで主要な阻害要因となる.これは,患者側にとってもセラピスト側にとっても大きな問題となり得る.
特に肩の痛みは,われわれOTが頻繁に直面する課題である.日常生活場面(activities of daily living: ADL)の中で上肢を使う活動はさまざまあり,肩の痛みがあると行動が制約されて,精神的不安定,自発性の低下,抑うつ状態等を引き起こしてしまう.だからこそ,セラピストはその問題に正面から向き合い,解決する方法を考えていかねばならない.
肩関節の構造は自由度が高いがゆえに,不安定性も強い.しかし,われわれはその構造を理解し,中枢神経損傷者への姿勢制御と,対象課題に対する随意的運動を背景にして上肢機能の改善を図り,介入により痛みを軽減することができる.患者は運動行動に伴う痛みを軽減できたことでADLが改善し,よりよい生活を送れるようになる.
以下に肩の痛みの基本的内容を踏まえて,回復期における脳卒中片麻痺患者への介入とADL改善に至るまでの過程を述べる.
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