増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第2章 上肢・手の実用的機能向上—各手技・手法の考え方と具体的実践
10 スプリント療法の実際
藤目 智博
1
Chihiro Fujime
1
1新潟医療福祉大学
pp.716-719
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200990
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
スプリントの基礎
紀元前1,500年には熱傷に対する銅製体幹装具が使用され,ヒポクラテス(紀元前460ごろ-紀元前370ごろ)が骨折に対して副子を用いたとされている.その後,木製,金属製と形を変えながら発展してきた.また,当初は外傷部位の固定,安静を目的としたものが主であったが,ゴムやバネ等の動力を用いた動的副子の出現,熱可塑性プラスティック素材による簡便な装具の開発が進み,リハにおいて盛んに活用されるようになった.現在の臨床場面では,「装具」,「副子」,「スプリント」等,複数の呼称が用いられているが,本稿では義肢装具士が製作するものを「装具(orthotics)」,OTやPTが簡便に製作するものを「スプリント(splinting)」とする.
スプリントは機能と目的によってカテゴリ化される.機能では,関節や損傷部位を固定する静的スプリント(static splintもしくはimmobilizing splint),ゴムやバネ等の力限を利用した動的スプリント(dynamic splintもしくはmobilizing splint),対象に合わせて徐々に形を修正する漸次改変スプリント(serial static splintもしくはserial progressive splint)に分けられる.スプリントの機能は目的に沿ったものが選定される.主なスプリントの目的は,①安静・固定,②代償・機能転換,③矯正,④模擬が挙げられる.
Copyright © 2017, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.