増刊号 上肢・手の機能と作業療法—子どもから大人まで
第1章 上肢・手の機能と作業療法
6 上肢・手の機能と対人コミュニケーション
辛島 千恵子
1
Chieko Karashima
1
1名古屋大学大学院
pp.651-653
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200975
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はじめに
「風邪かな? どれどれ,熱はないのかな?」と額に手を当てて「大丈夫,熱はないからね」と言う母親の,その手から安心を得る子ども.また,遠くにいる父親が大きく広げる両腕が「さぁ,おいで」と叫んでいるかのように感じられ,その真ん中にまっしぐらに飛び込んでいく子ども.このように,接触すること,表現すること,伝達することの手段として,上肢や手は人と人をつなぐ大切な役割を果たしている.
本稿では,上肢・手の発達が対人コミュニケーションの基盤となり,さらに,その上肢・手の機能によって作業が遂行されるプロセスで対人コミュニケーションが発展することについて解説したい.また,人と人が紡ぐ作業遂行こそ作業療法の源泉であることについても触れたい.
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