Japanese
English
連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
対人恐怖
Taijin Kyofu
山下 格
1
Itaru YAMASHITA
1
1平松記念病院
1Hiramatsu Memorial Hospital, Sapporo, Japan
キーワード:
Social anxiety disorder
,
Taijin kyofu shou
,
Delusional disorder in adolescence
Keyword:
Social anxiety disorder
,
Taijin kyofu shou
,
Delusional disorder in adolescence
pp.76-78
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102639
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はじめに
社交恐怖はJanetの指摘(phobies du situations socials, 1903)に始まり,Kraepelinの教科書(1915)にはVerkehrsangstとしてEreuthophobie, Dysmorphophobie, Anthropopbobieなどの症例が多数記載されている。しかし,その後に欧米諸国では目立った報告がなく過ぎる一方で,わが国では森田正馬の学説と治療法が広まって,人前で恥じない態度・言動をとり,それができないことを恐れる「羞恥恐怖」がひろく対人恐怖とよばれてきた。
しかし1960年以降,国内から従来の羞恥感情とは異なった妄想的症状構造を持つ症例が多数詳細に報告された。また1980年にDSM-Ⅲが発表されると,別の立場から類似の恐怖症状が取り上げられ,大規模な疫学的調査を経て国際的に大きな関心をよんでいる。以下,この2つの研究・調査を中心に,用語や概念の相違を含めて要点を述べる。
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