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Key Questions
Q1:臨床参加型実習をどのように展開するか?
Q2:症例レポートに代わる学生の提出課題をどうするか?
Q3:作業療法卒前教育のために実習施設で意識することは何か?
はじめに
近年,教育現場では,受け身で教わるだけではなく,主体的かつ双方向に学ぶアクティブ・ラーニングが取り入れられつつある.2017年(平成29年)2月,中央教育審議会は「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善の視点として,アクティブ・ラーニングを位置づけた1).今,教育の現場で議論されている「自分で興味・関心を持って主体的に学ぶこと,他の人々との対話などを通して知恵や発想等を豊かにすること,さらに,知識や技能を組み合わせ,自分の見方や考え方を広げ,明らかにし,実地に使えるようにしていくこと,そしてそこからより深い理解へ,新しい課題の発見や次の学びへとつなげていくこと」2)の延長線上に実習がある.ならば実習の形式も同じように議論され,変化していくのが自然な流れかと思う.
一般社団法人日本作業療法士協会が作成する『作業療法臨床実習の手引き(第4版)』3)には,臨床実習の目的と臨床実習の到達目標(到達水準)が示されている(表1).どちらも「臨床実習指導者の指導のもとに」との但し書きがある.これは臨床参加型実習でいう「模倣(後期)」から「実施」段階に当てはまるレベルと解釈している.臨床参加型実習では,最終学年の臨床実習においても,ほとんどの項目を実習生1人で実施することはない.これにより無資格の実習生が患者を担当するという倫理的な問題をクリアしている.一方で臨床実習指導者には,「それで本当にいいのだろうか」との不安もある.その不安は「この続きは誰がどこでどのように教えるのか」といった疑問からくる.実習方法の検討では生涯教育の重要性,つまり学校(卒前教育)と社会(卒後教育)をつなぐ学びのリレーを実現すべく,教育方法全体が合わせて語られる必要がある.
教育機関ではない実習施設において今できることは,各養成校の教育課程が目指すところを知り,延長線上にある社会への移行が円滑に行われるよう意識することではないだろうか.社会が多様かつ急激に変化する状況にあって,実習生には知識や技術を多く習得するだけではなく,他者と共に問題に向かう力が求められる.そのために必要なのはコミュニケーション力,OTとしての職業意識,意欲(目的意識)かと思う.これらを育む生涯教育の一部に実習は位置づけられる.
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