連載 作業療法を深める ⑧産学官連携
ロボティックウェアcurara®の開発における産学官連携と人間装着型ロボットの将来
橋本 稔
1
Minoru Hashimoto
1
1信州大学繊維学部機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース
pp.498-501
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200932
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ロボティックウェアcurara®開発の経緯
超高齢社会に突入したわが国では,医療・福祉分野をはじめとしてロボットの社会実装が求められている.労働人口の減少,医療・介護分野での人手不足,医療費や社会保障費の増大等の課題に対して,ロボット技術開発による対応が国家の成長戦略の柱1)となっていることも一つの要因である.筆者らの研究室では,10年以上前から人間装着型ロボットの制御技術の研究とその実用化に向けた取り組み2)を続けており,今後病院や介護施設でこのロボット技術を活用していきたいと考えている.本稿では,この研究開発の経緯や産学官連携に関する取り組みと,今後いっそう普及が予測されている人間装着型ロボットの将来について私見を述べたい.
筆者らは,人間と人間の握手のように,お互いに引き込み合いながら一つの動きを生成することを,人間とロボットによって実現することを目的として,ロボットの握手制御に関する研究を2003年(平成15年)ころより開始した.その研究の中でロボットの同調制御法(人の動きに合わせて稼働するための制御法)3)を考案し,この制御法を握手という感性コミュニケーションの手段だけではなく,人間の動作を支援する技術として展開しようと考えたのが,ロボティックウェアcurara®の研究のきっかけとなった.
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