Japanese
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特集 生活行為向上に向けた通所リハビリテーション
—生活行為向上に向けた作業療法の展開②—ご縁を大切にする作業療法
Occupational therapy to improve daily life performance:Occupational therapy that develops strong ties(i. e., Goen)with clients
都甲 幹太
1
Mikita Togo
1
1介護老人保健施設あやめの里
pp.1094-1099
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200718
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Key Questions
Q1:生活行為を向上させ,地域参加を支援するOTの役割とは?
Q2:OTの専門性を活かしたSPDCAサイクルとは?
Q3:地域参加を果たし,通所リハ修了に向けたOTの働きかけとは何か?
はじめに
「こんにちは,お手伝いに来たよ」と明るい声と笑顔とともに,A氏(70代後半の女性)は,筆者が勤める施設のお餅つき大会に,家から1人で歩いて,ボランティアに来てくださった.実は,A氏は以前,当施設の通所リハビリテーション(以下,通所リハ)利用者であった.
「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」において,①質の高いリハ実現のためのマネジメントの徹底(生活期リハビリテーションマネジメントの再構築)とリハ機能の特性を活かしたプログラムの充実(生活機能に焦点を当てたアプローチの強化)が案として示された1).
筆者の施設では,以前から「活動」,「参加」に対する支援を実践し,“通所リハ卒業”を目指していたが,思うような結果を残せずにいた.その理由の一つとして,「ご縁を大切に」という古き良き文化があるため,利用者間,利用者-スタッフ間の縁が結ばれ,通所リハ卒業に高いハードルがあると感じていた.しかし,A氏とのかかわりの中で,「ご縁を大切に」の本当の意味を教わった.
本稿では,まず,生活期リハビリテーションマネジメントのSPDCAサイクルを基に,通所リハにおけるOTの専門性を活かした支援を考える.その後,A氏とのかかわりを紹介し,対象者が,再び自らの力で社会参加を果たし,地域生活に溶け込むための,生活行為向上に向けた作業療法について考えていく.
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