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特集 若年性認知症の疫学・臨床・社会支援
若年性認知症の臨床的課題—アルツハイマー病を中心に
Clinical Task in Early-onset Dementia, with a Focus on Alzheimer's Disease
佐藤 泰之
1
,
太田 深秀
2
,
中野 明子
3
,
新井 哲明
2
Hiroyuki Sato
1
,
Miho Ota
2
,
Akiko Nakano
3
,
Tetsuaki Arai
2
1筑波大学大学院人間総合科学研究科
2筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学
3筑波大学附属病院
1Graduate School of Comprehensive Human Science, University of Tsukuba, Tsukuba, Japan
2Department of Psychiatry, Division of Clinical Medicine, Faculty of Medicine, University of Tsukuba
3University of Tsukuba Hospital
キーワード:
血管性認知症
,
vascular dementia
,
若年性認知症
,
early-onset dementia
,
Alzheimer病
,
Alzheimer's disease
Keyword:
血管性認知症
,
vascular dementia
,
若年性認知症
,
early-onset dementia
,
Alzheimer病
,
Alzheimer's disease
pp.1455-1461
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206215
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抄録 近年,若年性認知症に対する福祉や支援が注目されているが,社会政策や社会資源は今なお不十分である。このたび我々は,今後の若年性認知症施策を考える基礎資料を得るために有病率や生活実態などの調査を行った。
茨城県内の標準化有病率と有病者数を調査した結果,2018年時点での若年性認知症有病率は人口10万人あたり53.7人であり,アルツハイマー病が最も多いという結果であった。また生活実態調査からは,今後の生活や将来的な経済状態に対する不安といった回答が多くみられた。
2006年度の有病率調査では有病率は人口10万人あたり43.3人,血管性認知症の割合が最も高いという結果であった。今回の調査ではアルツハイマー病の割合が最も高く,その背景には,脳血管障害の発症率の低下や予後の改善,高次脳機能障害概念の浸透などが関係している可能性が推測された。また今回の調査より,診断後の支援として就労・経済・社会参加などが特に求められていることが明らかとなった。
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