増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第2章 疾患別実践例
1 —脳血管障害例(急性期)—リアルオキュペーションの適用が作業を実現に導いた事例—馬術部のコーチ復帰を目指して
河本 敦史
1
,
籬 拓郎
2
,
金子 史子
3
,
舟木 優佳
4
,
中西 徹
5
,
井上 博幸
5
Atsushi Kohmoto
1
,
Takuro Magaki
2
,
Fumiko Kaneko
3
,
Yuka Funaki
4
,
Toru Nakanishi
5
,
Hiroyuki Inoue
5
1県立広島病院
2県立広島病院脳神経外科
3広島大学大学院
4広島国際大学
5県立広島病院リハビリテーション科
pp.806-810
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200652
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はじめに:事例紹介
60代男性.元銀行員.ニューヨークに駐在した経験がある.ボランティアでA大学馬術部のコーチをしており,自宅から1時間程度運転してほぼ毎日練習場へ行っていた.中国地方に数名しかいない馬術の国際審判員資格を有している.妻(キーパーソン),母親と三人暮らし.
X年Y月,後頭蓋髄膜腫にて開頭腫瘍摘出術を施行した.退院後,不可解な発言,判断力や自発性の低下があり,水頭症の診断がなされ,Y+2月,脳室腹腔短絡術(V-Pシャント術)が施行されるも,シャント機能不全にて同月再手術となる.JCS 3.注意散漫なときもあるが,指示動作の遂行がおおむね可能である.MMSE 9.記憶は短期・長期ともに低下しており,Kohs立方体テストの実施は困難である.発想を要する会話のやり取りができない.帰宅願望が非常に強く,紙袋に荷物を入れ離院を試みることがある.四肢の運動麻痺は認められないが,監視下で歩行可能なときと,平衡機能障害が強く手添え程度の介助が必要なときがある.Barthel Index 40点.ADL全般にわたって監視,誘導,指示が必要がある.背部の清拭介助を受けている.Y+2月,主治医より監視下で院内歩行許可が下り,作業療法の処方がなされる.
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