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特集 脳機能障害と作業療法—高次脳機能障害に焦点を当てて
総論:高次脳機能障害を理解するための脳機能
Basic principles of brain function to interpret dysfunctions of higher brain function
寳珠山 稔
1,2
Minoru Hoshiyama
1,2
1名古屋大学大学院
2名古屋大学 脳とこころの研究センター
pp.516-521
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200585
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Key Questions
Q1:高次脳機能の理解に関する変革とは?
Q2:脳のネットワーク機能の理解の重要性は?
Q3:作業療法と脳機能理解の関係は?
緒言
近年の脳機能研究の進歩によって,作業療法領域の扱う機能障害と脳機能との関係が徐々に明らかになってきました.臨床応用も含めて作業療法と脳機能の関係は10〜15年前に比較してとても深くなったものと思います1).個々の脳機能や機能障害については他稿に譲るとして,本稿では作業療法と脳機能の関係のポイントを高次脳機能に関連して若干述べたいと思います.近年の脳機能については,神経ネットワーク(neural networks),神経接続性(neural connectivity),神経可塑性(neural plasticity)といった語句や脳機能解剖の理解なくして関連論文を読むことは難しいものです.「脳研究の進歩に追いついていけない感」が強い方も少なくないかもしれません.そうであっても,近年に至って初めて,作業療法に関連する脳機能の理解ができる知見や環境が整ったといえますし,このことはこれまでの時代にないほど作業療法にとっては幸いなことだととらえることができるでしょう.
最初に申し上げますが,脳機能の理解は作業療法にとても重要なことです.一方,脳機能を理解しなければ作業療法ができない,というものでは決してありません.脳機能の理解の上に行う作業療法と,脳機能を考慮せずとも行う作業療法とには,本質的に共通の事項があります.どちらが正しいとか高度とかいうものではありません.本項の最後に述べることにします.
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