連載 かれんと
市場化と弱者
竹内 章郎
1
1岐阜大学地域科学部
pp.315
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900635
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近年話題の規制緩和という名の市場化論の屋台骨は,市場は人間生活の中で自然に生まれたシステムであり,だからこそ資源を効率的に配分する仕組みであり得るのだという話である.本来,国家介入や行政的規制を必要としない市場に介入するから,効率的な経済が阻害されるとさえ言われる.
確かに,行政権限が大きすぎて,昨年発覚した彩福祉法人と厚生省事務次官との癒着問題のような汚職の源泉となる場合がある.また,福祉サービスの供与にしても米の供給にしても,措置制度や食管財政といった行政的押しつけよりも市場に任せる方が効率がよく,選択の自由が高まるという意見もある.
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