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技師会活動を通じて
私は,40数年余り技師会活動に参加してきた.活動に心血を注いできた理由は,臨床検査技師の社会的認知度の向上にあった.「私は臨床検査技師です」「それって,何者?」という答えにあぜんとしたことがある.過去には“沈黙の戦士”と表現される方もあり,黙って施設の片隅で仕事をしていたのが現状であった.疾病を診断するために,重要な臨床検査データを提供している臨床検査技師でありながら,仕事をしているわれわれの存在があまり表面的に出てこないことに歯がゆさを感じていた.世間一般的に“検査”は知っているけど仕事をしている人を知らないというのが事実で,社会的な認知度が低いことは今も変わっていない.
でも,そのような感覚を抱いた先人たちは,臨床検査技師の社会的認知度を高めようと,技師会の法人取得を目指し,主体的な組織運営を図り,地位・制度の確立とともに,国民の健康に貢献する医学検査の実践と普及,医療人として社会的責任を果たそうとする行動計画を打ち立てた.しかし,衛生検査技師法の成立から60数年がたち,幾度となく時代の人たちが法の改正や制度の変革を行ってきたが,まだまだわれわれが思っている域に達していないことから,途上の法律や制度であると思っている.特に,社会的処遇や制度上の立場など,さまざまな問題が横たわっていることに気づいているだろうか? 今,それらの課題を直視し,臨床検査技師のさらなる付加価値を高めるためには,臨床検査業務について正しく理解し,広く認知してもらうことが重要と感じている.そのためには,①臨床検査技師の個々人が,自分の立場で明確に臨床検査業務について見つめ,意見を述べること.②臨床検査技師を代表する者が,将来を見据えて未成熟な制度や政策などについて協議し,臨床検査業務の安定性が担保されるように努力することが大切である.
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