増刊号 認知症と作業療法
第2章 時期(重症度)別にみる認知症の作業療法の実際
8 —医療機関(病院)①—精神科病院における認知症高齢者に対する作業療法
塩田 繁人
1
,
杉本 優輝
1
,
稲口 葉子
1
,
北村 立
1
,
村井 千賀
2
Shigehito Shiota
1
,
Yuki Sugimoto
1
,
Yoko Inaguchi
1
,
Tatsuru Kitamura
1
,
Chiga Murai
2
1石川県立高松病院
2厚生労働省老健局老人保健課
pp.685-691
発行日 2015年6月20日
Published Date 2015/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200276
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はじめに
石川県立高松病院(以下,当院)は400床の単科精神科病院であり,そのうち精神科急性期病棟(以下,急性期病棟)を含めた150床を高齢者専門として運用しており,認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)を中心に老年精神疾患に対する治療・リハを提供している.当院では,認知症の人を,国際生活機能分類1)(以下,ICF)に基づき,「認知症を持ちながら生活している人(図1)」としてとらえて,包括的にアセスメント・支援することを心がけている2).また,作業療法を展開するポイントとして,以下の3点の視点3)を大切にしている.①人を心身機能の側面から理解するのみでなく,「生活をする人」としてとらえる視点,②入院前の生活から退院後の生活まで,一貫した対象者の生活を理解し支援するという視点,③作業の継続性という個人の活動から,地域の社会資源の活用までを幅広くとらえる視点である.当院では,これまでに入院患者に対する作業療法プログラムの有効性や,自宅退院を達成するには歩行能力の維持が重要なこと,生活行為向上マネジメントの活用が再入院率を低下させる可能性があることを報告してきた4〜6).今回,当院の急性期病棟で実践している作業療法について,事例を交えつつ紹介する.
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