特集 よくわかる! 精神疾患対応 これ1冊―内科医と精神科医の連携のために
第7部 知っておきたい精神疾患 各論5:認知症
3 前頭側頭型認知症
田村 昌士
1
,
新井 哲明
1
1筑波大学医学医療系精神医学
pp.278-282
発行日 2024年3月26日
Published Date 2024/3/26
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000697
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Summary
1.前頭側頭型認知症(FTD)は,前頭・側頭葉を中心に神経変性をきたす疾患群の総称で,わが国における認知症全体に占める割合は1%と少ないものの,65歳未満に発症する若年性認知症においては9.4%を占め,Alzheimer型認知症,血管性認知症に次いで3番目に多い.
2.行動の変容と言語障害が中核的な症候で,比較的記憶が保たれる点でAlzheimer型認知症とは異なる.
3.慎重な病歴聴取,行動および発話の観察,身体診察,頭部MRIなどが,他の認知症との鑑別に役立つ.
4.FTDの根本的治療法は現状で存在しないが,常同行動に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬による薬物療法や,ルーティーン化療法および言語療法などの非薬物療法の有効性が報告されている.
5.精神症状や行動障害が目立つことから精神疾患と誤診されることもあるので,FTDに特徴的な症候を見逃さず,適切な支援と資源につなげることが重要である.
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